GUCHOのコラボレーション・アイテムで好評を博す『LEATHER BELT LOOP』は、生粋のレザー職人・TUSH(タッシュ)さんの協力もあり、価格、品質共に優れた、デイリー・ユースに重宝する作品に仕上がりました。
リリースが2013年。
NAOSHI同様のモノへの責任感とユーザーへの思い遣りを反映した、真摯な姿勢の『職人気質』。
お互い近い価値観でひとつの作品に向かい合えた、良い意味でのコラボレーション作品だったと思います。
リジッド・ショベルに乗るバイカーでもある、『Real Hand Made Leather Works』を掲げるTUSHさん。
『手縫い』にこだわり品質に重きを置いたモノ作りは、バイカー然とした風貌にもかかわらず仕事振りが繊細・丁寧。
素材のタフさに仕上がりの美しさが高いレベルで組み合わさった、魅力的なレザー製品を伝統的な技法で今も変わらずリリースし続けています。
また、ユーザーのニーズを満たすべく、用途を聞き出してからベストを見つけるモノ作りの姿勢からも、その人柄がにじみ出ています。
いわゆる『痒い所に手が届く』かどうかは、『人』次第なところが非常に大きく、『無ければ作る』スタンスから1点モノにも柔軟に対応してくれる、頼りになるレザー職人です。
例を挙げると、これはG8Tokyoで使用している記入して頂く際の『レザー・サインパッド』。
OPEN前に特別に仕上げてもらいました。
革厚がだいたい2mmのモノ同士を両A面、表革で縫い合わせ。革と革の間には下敷きの役割の1mm厚のプラ板を挟んで、『書くためのモノ』に適した仕様となっております。
ステッチ位置もA4サイズでも書き込みの際に邪魔にならない、縫い目をギリギリ外側まで持っていった、使うことを最優先した『道具』らしい、機能性を満たした仕上がりとなっています。
手間暇惜しまない、モノに対して責任を全うする姿勢がこういったところからも伝わってきます。
以前、『生粋のレザー職人』に品質に見合わない価格設定(割にあっていない)について尋ねたところ、「自分が食える分だけ稼げればいいから、負担がエンド・ユーザーに行っちゃうのがちょっとね…」と、自分の利益の前にお客様を大事にする姿勢からも、『武士道』然とした、粋な人柄なのがコメントを通じて感じられます。
ベルト・ループは実際に私も毎日利用しておりますが、使い始めてから4年経って、経年劣化よりも使用における『味』が出てきて、より愛着が沸いております。
細かいところも説明しましょう。
まず、一般的にこの手のベルト・ループは一枚革(厚さ3.5~4.0mm程度)を使っている中、TUSHベルト・ループは二枚の表革(1.8~2.0mm程度×2)を両面で縫い合わせる『両A面仕様』。
内側に貼る革と外側に貼る革は寸法が違い、切り出しから寸法を正しく出す必要があり、その2枚の革を3mmピッチで正確に縫い合わせている時点で、手間を惜しまないモノ作りの姿勢が作品に反映されております。
単純に倍以上の手間のかかる仕様で、折り曲げる部分はさらに漉いて野暮ったくならない様に配慮の行き届いた状態にしてあり、貼り合わせの側面をコバ磨きで仕上げたフィニッシュからも、丁寧な仕事ぶりが見て取ることができます。
また、2枚縫い合わせによって正面のボタンは『隠し』の仕様になっているのですが、ドーム形状のスナップ・ボタンを叩くことで平らにし、その状態にしてからの縫い合わせとなっているため、隠しとはいえそのまま埋めたら凸が目立ってしまいますが、TUSH製は違和感なく自然な風合いで仕上げられております。
ボタンの隠しに当たる部分にGUCHOのブランド・ロゴである『gロゴ』の刻印が打たれているのですが、平らに処理してあるため理に適った仕様といえるでしょう。
更にスナップ・ボタンはDX仕様を使っているので、激しい開閉にも耐えうる、品質重視のベルト・ループといえるでしょう。
『黒』『赤』『青』『白』の4色が糸色のバリエーションになります。
コラボレーション・アイテムには赤いシニュウ糸を使用。『黒レザー×赤ステッチ』のGUCHOのブランド・カラーの配色となっております。
使い込むことでシニュウ糸も馴染んできて、年数が経つほど一体感も強まってくるあたり、愛着もより沸くものだと思います。
ちなみに
G8Tokyoでは、KUSTOM JEWELRYの柔軟性を上げるべく『カスタム』にも前向きに取り組みたいと思っていたので、参考までにの色別注仕様の作品画像です。
青も赤とは違った魅力があります。ベースが良いので、全く違和感ない別注ですね。カッコいいです。
GUCHOのシルバー・パーツは、このベルト・ループにしか使わない専用のPYRO HOOPを使用。その寸法に合わせて、流用ではなく専用パーツを作るあたり、相変わらずのこだわりが感じられます。
パーツ重量があるとレザー部分にも負担がかかるということもあり、内側を『抜き』にして軽量化を図りつつも、そこそこの厚みを持たせ、最低限の剛性はしっかり確保しております。
また、見えない部分になるパイロ裏側の、抜きにした内側にもテクスチャー(叩き仕上げ)を入れて、パイロ及びフレイムス(炎)らしい表現を取り入れてあります。
抜かりなく作品に労力を費やす姿勢は、モノに反映しております。
パイロの両脇『フープ部分』にも同様にテクスチャーが炎の『くすぶり』に近い形で入りつつ、フープとレザー部分をつなぐ、シンチ・ベルトを連想させる形状『側面』に入るテクスチャーは『ヴィンテージ金具』を彷彿させる仕様で、地味ながらも差別化を図ったNAOSHIらしい表現が形になっております。
また、このシンチ・ベルト風接続部分にはテクスチャー形状と共に、ビス止めしてあるような造形で仕上げられているあたり、明確にやりたいことが形になっているのが良くわかります。
様々なデザイン、背景を参考にして自身の作品に反映させているので、NAOSHIのノリは作品細部からも感じ取れるところが実は多かったりします。
なかなか伝わらないながら、作品を観察することで発見が多いのも、このブランドのハマる要素のひとつです。
コスト・パフォーマンスにも非常に優れた、秀逸なベルト・ループといえるでしょう。
ベルト下位置あたりに最も負荷がかかるため、深くシワが入っていますが革のタフさゆえに、より良い使用感が出て味わい深くなっていきます。
私物にはピンストライプを入れてもらいましたが、お勧め致しません。
良い意味で、しっかりと革に油分が行き渡っているために、エナメル塗料がなかなか浸透せず、結果、乾きが遅くノリが悪い。
逆に、それだけ革の素材自体がしっかりしたモノを使っていると考えれば、物持ちの良い、長く付き合える作品と言っても差支えはないでしょう。
こだわりの職人同士の競演。『機能性と装飾性の両立』が全うされた、非常に完成度の高いコラボレーション・アイテム。
それが『GUCHO x “TUSH” LEATHER’S LEATHER BELT LOOP』です。
限定品ではないながら、いつでも手に入るモノでもないので出会いの縁があるといいですね。
活動再開の際には是非チェックしてみてください。